第25回

『水が動かす地球』


□概要

2012年10月20日(土曜日) 14時00分〜15時30分 カフェ進々堂

水が動かす地球

 

僕は、地面のずーっと下にある岩石の研究をしています。

地球の内部にある岩石は、絶えず動いていて
地震の発生や火山の噴火にも大きく関係しています。

岩石には堅いものと柔らかいものがあり
その違いを生む原因は、なんと石に含まれるごく僅かな水なのです。

ダイナミックな地球の動きをつくりだす、繊細な岩石のお話をしてみようと思います。

 

■ゲスト
小木曽 哲 さん(京都大学大学院人間・環境学研究科 准教授)

■日時
2012年10月20日(土) 14:00-15:30

■ところ
カフェ進々堂
京都市左京区北白川追分町88(百万遍交差点より東へ)

■参加費
700円(お飲物、お菓子代+経費)

定員
20名(事前申し込み制)
*お申し込み多数の場合は、ご希望に沿えない場合があります

 


 


□当日の様子

会場のテラス席は少し肌寒かったですが、晴れていて気持ち良い天気でした。

今回のゲストは地質学が専門の小木曽哲さんです。

各テーブルには小木曽さんが持ってきた岩石が並べられており、それらが地球のどの部分を構成しているかという話から始まりました。ちなみに並べられていたのは、カンラン岩、玄武岩、花コウ岩、蛇紋岩の4種類です。

Q1.この4種類の岩石のうち、地球内部のマントルの部分を構成しているのはどれでしょうか。

話の中でこのようなクイズが出され、テーブルごとにみんなで岩石を観察しながら話し合っていました。
Q1の答えは黄色っぽくて少しもろいカンラン岩です。

さて、タイトルからも分かる通り、今回のキーワードは水です。
実感できないのが残念ですが、岩石はたった0.1%の水を含ませるだけで、約100倍流れやすくなります。ただし、「流れる」といっても、強い力で押し続けたときに、ゆっくりと氷河のように流れるという意味です。
また、水を不純物としてでなく、鉱物の構成要素として含んでいる場合は、全く含まないものよりも約1000倍流れやすいらしいです。

Q2.上の4種類の岩石のうち、他の三つに比べて約1000倍流れやすいものはどれでしょうか。

1000倍流れやすくても、石は石です。指で押しても違いは判りません。
このクイズが出されたときも、各テーブルでいろいろな意見が飛び交っていました。
Q2の答えは蛇紋岩で、実際に約10%の水を含んでいるそうです。

お茶とスコーンの時間をはさんで、後半の話は小木曽さんの研究についてでした。
一枚の図を使って、水と蛇紋岩の役割を紹介していました。
蛇紋岩には水を運ぶ役割があるそうですが、形成・分解されるときの化学反応や、その水が温泉水になるかどうかなどは未知だとか。
地下深くの水は、結果的には地震や火山活動へも影響を及ぼす可能性があるのだそうです。

身近な「水」の意外な役割について考える機会になったのではないでしょうか。最後にゲストから一言:「地球の中も水だらけ」

(塚本靖之)


□スタッフレポート1

進々堂さんの素敵な雰囲気の中で、参加者の方々が真剣に小木曽さんの話を聞いていたのが印象的でした。

また、参加者の方同士でも積極的に意見が飛び交い、非常に面白かったです。
自分とは違う職業・年代の方とは、普段なかなか接することが出来ないので、いい機会になりました。

初めてのサイエンス・カフェ、あっと言う間に終わってしまいました。とても楽しかったです。
小木曽さん、参加者の方々、スタッフの皆さんありがとうございました。

(白井 皓大)


□スタッフレポート2

初めての参加で、先生の貴重なお話を聞くことよりも、どのような参加者がこられスタッフとしてどのように気遣いをするんだろうと周囲に目がいき、本題はほとんど頭の上を通過してしまいました。

そんな中、蛇紋岩の見た目と特性は、ひとめで一致する事を常連参加者の方からご意見頂き、妙に感心してしまいました。

そして、誰もが興味を持っている地震の事は、起こった時は起こった時の事と思う事がよさそうです。。そうですよね、小木曽先生。

又、今回のカフェに向け、皆で集まり、一つの目的を達成する為に実際に会ってお話する事は、普段、マイペースに仕事している私には、新鮮でした。

(車戸 映子)


 

inserted by FC2 system