第17回



『液体と固体のあいだ 〜ぷるぷる・ねばねば・ふにゃんふにゃん〜』







□概要

2010年7月3日(土曜日) 14時00分〜15時30分 カフェ進々堂

『液体と固体のあいだ 〜ぷるぷる・ねばねば・ふにゃんふにゃん〜』

ケチャップ・ジャム・ガム・ハンドクリーム…
お皿や手の上に置いても流れていかないけれど、
力をかけると流れていってうすーく塗り広げられるもの。
でも、塗った後にはやっぱり流れていかないもの。
身の回りのこんなものって、液体 ? それとも固体

■ゲスト
畝山 多加志さん(京都大学 化学研究所 助教)

■日時
2010年7月3日(土曜日) 14時00分〜15時30分 カフェ進々堂

■ところ
カフェ進々堂
京都市左京区北白川追分町88(百万遍交差点より東へ)

■参加費
700円(お飲物、お菓子代+経費)

定員
20名(事前申し込み制)
*お申し込み多数の場合は、ご希望に沿えない場合があります

■申し込み方法
井戸端サイエンス工房 isl@kyoto.vis.ne.jp 宛てにEメールで、
名前、年齢、電話番号、職業、この催しを知ったきっかけをお書きの上
お申し込みください。お申し込みの締め切りは6月26日(土)です。
※お寄せいただいた個人情報は今回の催しの運営にのみ使用いたします。


ポスターはこちら

□当日の様子

今回の井戸端サイエンスカフェは残念ながら土砂降りの大雨の中の開催となりま した。そんな中集まってくださった講師の畝山さんと20数名の参加者の皆様。お 疲れさまでした。


お話のテーマは「液体と固体のあいだ」。液体と固体の違いって、よく考えてみ ると確かにわからない。今日はどんなお話が聞けるのか、スタッフとは言えサイ エンスカフェ初参加の僕もワクワクです。


会場の進々堂さんのテーブルの上には液体と固体の間にあるような素材が並んで います。ケチャップ、ハチミツ、マヨネーズ、ハンドクリーム、シリコンパテ、 2種類のゴムボール…


ゴムボールは明らかに固体(このときはそう思っていました)ですが、他はどれも それなりに固くてそれなりに柔らかくて、判断が難しいです。クイズ形式で固 体・液体を答えてもらったところ、やはり僕だけではなくて皆さん判断に迷って いたみたいです。それに対する畝山さんの答えは「どれも液体だし、どれも固 体。どちらともいえないものを用意しました」。畝山さん、意外と意地悪ですね。


結局のところ、多くの物質は長い時間をかけてみれば液体と見なせるし、短い時 間なら固体と見なせるということだそうです。オーストラリアでは石炭ピッチと いう石みたいなものを10年かけて漏斗から滴らせているグループがあるとか。 机においてあった2種類のゴムボールも、両方とも固体に見えますが、短い時間 では片方は液体、片方は固体的に振る舞うそうです。試しに机の上で弾ませよう とすると、片方はよく跳ねて片方は全く跳ねません。これは、ボールが机にぶつ かってから跳ね返るまでの時間で、片方は固体として振る舞うので弾んでもう片 方は液体として振る舞うから弾まないのだとか。見た目は同じようなものなの に、なかなか深いです。


この境目となる時間を「緩和時間」というのだそうですが、化粧品や食品開発で はこの「緩和時間」などを使いながら製品開発を進めているそうです。身近なと ころにまだまだ知らないサイエンスが潜んでいるのだな、と大いに目から鱗が落 ちました。


(高橋 走)


□スタッフレポート

「パパ、僕ね、7月3日の土曜日に、進々堂っていうとこにママと行ったんだ。そしたらね、窓際で、なんだか面白そうなことやってたんだよ、僕、つい見ちゃったんだけど、お兄さん、お姉さん、おばちゃん、おじちゃん達、みんな楽しそうに笑ってたんだよ。」

「へえ、どんなことやってたんだい?」

「なんかね、あらゆる物には“緩和時間”っていう、固体から液体に変わる時間があるんだって。何億年、っていう時間も入れたら、地球上のほとんどの物は液体に変わるんだってさ。みんなの前でお話してた人は、液体になることを“流れる”って言ってたんだ。僕、“流れる”って言葉は、今まで“どこかから他の所に移動する”っていう風につかうものだと思ってたけど、“一つの物質の状態が液体に変わる”ことについても“流れる”っていう風に言うなんて、初めて知ったよ。」

「“形あるものは皆壊れる”ならぬ“形あるものは皆流れる”って訳か。ん?どうしたお前、考え込んで。」

「なんかさぁ、今、僕の目に見えているものも、いつかはみんな液体になっちゃうのかな、って考えたらすごく不思議なんだ。でも何億年、っていう時間なんて、想像もつかないや。」

「そうか。何億年、っていうとなかなか想像しにくいかもしれないけれど、身近なところで考えたらどうだい?色々なものが液体に変わるから、食べ物だって食べられるし、物も利用できるんだよな、きっと。食べ物が液体に変わるから、身体の中で消化が助けられるわけだし、お前がさっき、虫に刺された所に塗った軟膏。それだって、チューブから出して塗るうちにだんだん肌になじんでいくだろう、それもたぶん液体に変わっていくことを利用してるからなんだよな。」

「そっか。身近なところに、固体から液体に変わる性質を使ってるものっていっぱいあるんだね。そういえば、お話の中で言ってたよ。電子レンジでお水を温められるのも、1000億分の1秒っていう、水が固体から液体に変わる緩和時間を使ってるからなんだって。水の緩和時間と同じくらいの周波数の電磁波を出して、固体の状態の水を揺らすから、熱が発生して水が温まるんだってさ。」

「面白いなぁ。いい話を聞かせてくれてありがとう。しかしお前、よっぽど興味が沸いたんだなあ。」

「うん、だってね、それまで知らない人同士だったのに、テーブルに集まって一緒におんなじ“なぞ”について一生懸命考えてるの、とても楽しそうだったんだもん。」

「そうか。そういう場でお友達ができるのは、とても素敵なことだね。今度そんなイベントがあったら、行ってみるか。ママも誘って。」


(阿部美香)

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